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限定承認手続について

「限定承認」は資産と負債のどちらが多いかわからない場合に使うと聞いたことがあるかもしれません。確かにその通りです。資産が多ければ、差額分を相続で得ることができ、逆に負債が多いときは、引き継いだ資産の範囲内で返済しますよというのですから、相続人としては一番無難な方法にも見えます。
しかし、これは、相続人が様々な手続をしなくてはならない点で決して楽なものではないなんです。具体的にはどういうことでしょうか。その特徴を説明します。

①相続人全員による共同申立が必要(民法923条)。
限定承認は、相続人全員の足並みがそろっていなければ申立てることはできません。ただし、限定承認前に相続人が相続放棄をしている場合は、その相続人はもともと相続人でなかったことになるのでその相続人以外の全員でやればいいことになります。いずれにしてもこの方法をとるには、他の相続人の意向を確認し、共同できなければなりません。


②相続人が相続開始を知ったときから3か月以内にする必要(民法915条1項)。
この熟慮期間ですが、家庭裁判所で伸長の審判をもらえば、伸長できます。


③手続が複雑であること
限定承認は申し立て後の手続が複雑です。具体的には

ア. 家庭裁判所に限定承認申述の申立
イ. 申述受理後、5日以内に全ての相続債権者や受遺者に対して、限定承認をしたことを公告しなければなりません。なお、相続財産についての相続財産管理人が選任された場合は、その選任後10日以内です。公告は、官報に掲載することで行います。
ウ. 相続人が数人いる場合には、相続人の中から「相続財産管理人」が選任されます(民法936条)。
エ. その後、限定承認した相続人(1人の場合)または相続財産管理人は、相続した資産を換価したうえで、各相続債権者に対して負債を配当弁済しなければなりません。
オ. 配当弁済後に残資産がある場合に、相続人間で遺産分割となるのです。

このように限定承認をした場合には、単純に申立をして終わりではなく、相続した負債についての相続債権者への配当手続をしなければならないという負担があるのです。


★換価配当のための手続内でも

・不動産がある場合には共同相続登記をしなければならないこと
・みなし譲渡による譲渡所得がある(所得税法59条)ので一旦被相続人の所得税についての準確定申告(所得税法125条)をしなくてはならないこと(要注意:意外と忘れられています。みなし譲渡所得とは、相続財産を売却したものとみなして所得課税がされるのです)。

など手続が複雑なだけでなく、相続税以外での税法上の対応も必要になってきます。

限定承認を選択した場合は、その後の処理について、詳しい弁護士に一度相談することをお勧めします。




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