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被告人質問先行型刑事裁判

先日国選弁護事件公判で被告人質問先行型という進行をされました。
前提として一般の刑事事件の公判手続の流れは次の通りになります。

(通常の刑事裁判)

① 冒頭手続ー人定質問、起訴状朗読、黙秘権告知、認否
② 証拠調べ 検察側、弁護側
③ 検察の論告求刑
④ 弁護人の弁論
⑤ 被告人の最終陳述
と進行します。(裁判員裁判などは別)

そして、①で罪状について認めるような事件(自白事件といいます)

では、②で冒頭陳述で検察側が立証しようとすることを述べ、
甲号証ー犯罪に関係する証拠、被告人以外の調書
乙号証ー被告人関係の証拠
を弁護人の同意するものについて調べます。自白事件の場合、ここはあっさりされ、弁護人が次に情状の立証と被告人質問をやる訳です。
では、被告人質問先行型ではどう進行するのでしょうか。①はかわりませんが、②の証拠調べが少しかわりました。先に書いたように弁護人が同意したら甲号証、乙号証を調べるはずですが、その一部を被告人質問ですませてしまうんです。つまり被告人の警察検察で調べた調書は使わず、公判の場での被告人質問で聞いてしまう訳です。
私の事件では、甲号証と乙号証のうちの前科関係、身上関係(の調書、戸籍など)だけは調べましたがほかは公判の場で直接被告人に話をさせます。
これは、弁護人の負担が増えます。確かに刑事訴訟で要求されている直接主義(裁判で直接)の観点からはあうんです。ただ、犯罪事実関係は本来検察側が立証すべきものなのに弁護人からの被告人質問で確認してしまいます。ということは、自白事件の場合は、弁護人が調書にあることを質問して、情状関係を聞くのです。ほとんど弁護人から聞いてしまうので、結果、検事は、「起訴状に書いてある事実で間違い無いですね?」と大雑把な質問になってました。そして…最終的に被告人質問で聞いてしまっているので乙号証のうちの被告人の犯罪事実、情状に関する調書は、検察官で証拠調べ請求を撤回しました。そのような流れでした。
裁判所はこの方式をどんどん採用したいようです。これからは、傍聴しててもわかりやすい刑事裁判になるかもしれませんが弁護人には大変になるなと感じました。



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