契約書はどうして必要か。
よく「契約書がないのですが」と相談されることがあります。ここでは契約書が必ず必要か、そしてどのような意味を持つかについて述べます。
実は契約に関する基本となる民法では,「書面による贈与」の規定以外は契約書を要求していません。一部貸金業や宅建業に関する事例を除き、一般的には必ずしも契約書を作成しなくとも契約は成立します。
では契約書はどのような意味を持つのでしょうか。これは双方で合意があったことの証明書です。あらかじめ「契約書」という形にすることで、契約書に記された内容にお互いが合意したとみなされるわけです。
では、合意の存在を証明するために他に方法はないのでしょうか。答えは否です。
例えばメールのやり取り内容で、合意していることを明らかにできる場合もあります。またFAXの場合、例えば送信先が記載された受注書のFAX書面があれば、受注した内容についての合意があったとみなされるのです。つまり発注受注をFAXでやり取りする場合には,受信したFAXの「耳」が大変重要になります。このように発注書と耳つきの受注書を併せることで、合意を立証できることはしばしばあります。
このように必ずしも契約書がなくとも契約は成立します。しかし後々のトラブルを防ぐためにも、メールやFAXなど相手と合意した「痕跡を残す」習慣をつけて頂くことをお勧めしています。