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任意後見契約について

自分の将来を自分で決めておくために ― 任意後見契約 ―

自分の将来について、不安がない人はいないと思います。

・自分が長年築いてきた資産を子供やきょうだいなどに勝手に使われてしまうのではないか?
・今病気を患っているが自分が希望する治療を受けることができなくなるのではないか?
・障害のある子供がいて自分がいなくては生活できないのだが自分に何かあったときにちゃんと子供は守られるのか?

などなど。

もちろんこのような不安がないことが一番です。しかし、不安がある場合は当然ですが、ない場合でも万一に備えて自分の意思を残しておくことが重要です。
そして、死亡後に自分の意思を残す方法として「遺言」があるのはよく知られています。しかし、死亡した場合以外、つまり、自分が認知症になってしまった場合や色々な物事の判断をするのが難しくなってきた場合に自分の意思を反映することはできないのでしょうか?この要望を満たすのが、任意後見制度です。

類似の制度として法定後見があります。しばしば「成年後見」といわれます。しかし、「成年後見」と一般的に理解されているのは法定後見制度、つまり、「法定後見」として民法等で定められている後見・保佐・補助という制度です。法定後見がどのようなものかというと、自分の判断能力が認知症などで不十分となった場合(程度によりどの制度か異なってきます)に周囲の人(家族など)が家庭裁判所に申し立てて、その人の財産管理や身上監護などをする管理者(後見人、保佐人、補助人)を選任してもらう制度です。法定後見はあくまでご自身の判断能力に問題が起きた場合に周囲の人が申立てるもので、管理者が誰になるかどころか、申立がされるかどうかすらわかりません。
対して任意後見は、自分に判断能力が十分にあるときに将来判断能力が低下した場合に備えるものです。自分に判断能力が低下したときのために、自分で依頼しておいた任意後見人に、自分に関する生活・療養看護・財産管理などを委託(依頼)しておくのです。ですので、誰に、何を、どこまで委託するのかは自分で決めておくことができるのです。自分で決めた委託内容についての代理権を任意後見人に付与するのです。このようにどのような内容についても委託をするかを決めておくことができるのです。自分の意思を重視し、実現してもらうものなので、依頼する相手との間での十分な信頼関係が必要となります。

任意後見は、「任意後見契約」という契約で行います。そして任意後見人に対し、法的に委任することになります。ですので、任意後見人に対する報酬の額・支払時期についても(無償とする場合でない限り)任意後見契約で定めておく必要があります。
いずれにしても自分の意思をよく反映しておくためには、任意後見契約に際して十分に依頼しようと思っている相手(家族の場合でも同じです)とよく話をしておき、信頼関係を築いておく必要があります。少しでも疑義がある場合には無理に任意後見契約まで進むのではなく、自分が抱えている疑義を解消するか、別の信頼できる相手にするかなどよく考えた方がよいでしょう。

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