実際に任意後見契約を結ぼうと考えているとき,どのような手続になるのでしょうか。
まず、任意後見契約は、公正証書によって行います(任意後見法3条)。
選任予定者との信頼関係の構築
一番重要なことは、自分のことを任せる以上、十分な信頼関係を任意後見人予定者との間で築く必要があります。自分の親族等に依頼する場合、第三者として専門職に依頼する場合、のいずれでも
- 自分の実情(資産内容,体調,ライフプランなど)がどうなのか
- どのようなことを代理してもらいたいのか
- 身上監護の内容
- 報酬がある場合の取り決め(通常の報酬、特別な業務をした場合の報酬)
といったことをよく話をしておく必要があるでしょう。
任意後見契約書の作成
任意後見契約書には、
- 管理してもらいたい財産の範囲
- ライププランに従った身上監護
- 代理権の範囲
1.であれば、預金、不動産その他の重要な財産の売買・賃貸借、遺産分割等、2.については、介護、施設入所、医療契約等について明確に特定したうえで記載しておく必要があります。なお、選任される専門職が弁護士である場合には、これらに関する訴訟行為も可能になります。
- 報酬
定額報酬とその他の特別報酬、具体的な支払時期・方法
- 任意後見監督人が選任されたときから契約の効力が生ずる旨の特約
- 任意後見監督人への報告―頻度・方法
といった内容を定めておく必要があります。
そして、契約内容を詰めることができたら、契約書を公正証書(任意後見契約公正証書)にしておく必要がありますので、公証人と契約内容について詰めておく必要があります。なお、任意後見契約公正証書作成のために、事前に準備しておく必要書類として次のようなものがあります。
- 本人・後見人選任予定者の本人確認書類
- 本人の戸籍謄本
- 本人の住民票
- 本人の印鑑登録証明書(発行後3ヵ月以内)
- 本人の実印
- 後見人選任予定者の住民票
- 後見人選任予定者の印鑑登録証明書(発行後3ヵ月以内)
- 後見人選任予定者の実印
- 作成手数料
一旦、公正証書が作成された後、契約内容を変更したくなった場合には、
本人に判断応力がある限り任意後見契約公正証書の解除・変更等によって内容の変更をすることができます。
任意後見契約の登記
任意後見契約公正証書が作成されると公証人が、作成した旨の登記を登記所に嘱託します。
任意後見契約の効力開始
登記までされると契約成立です。ただ、契約の効力が発生するのは認知症の進行などで精神上の障害により本人の判断能力が不十分となった状況で、家庭裁判所に任意後見監督人の選任を申し立てる必要があります。家庭裁判所で監督人が選任されることで、任意後見契約の効力が発生し(任意後見法2条1項)、後見人が監督人の監督を受けながら契約に定められた代理権を行使していくこととなります。申立は、本人・配偶者・4親等内の親族または任意後見受任者ができます。監督人申立には、本人の精神的な障害が必要ですので、医師の診断書などの意見が必要となります。
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