高齢者の方が御親族や入所している養介護施設で虐待をされていると感じた場合は,どうしたらよいでしょうか
1. 相談、通報
まずは、お住まいの市町村(区)の福祉課、または地域包括センターに相談をしてください。自分が虐待されている被害者でなくとも高齢者が虐待されていると感じた方は、市町村の福祉課または地域包括センターに通報してください。
2. 市町村による対応
(1)虐待調査
市町村(地域包括センター経由の場合も含む)は、相談または通報を受けた場合には情報収集及び調査を行い、対応を検討する義務があります(高齢者虐待防止法9条1項)。調査に際しては、必要に応じて立入調査(同11条)や警察の出動要請(同12条)を行うことができます。
(2)虐待認定
市町村は調査などを踏まえ、虐待があるかどうか、緊急性があるかどうか等を関係者での協議を行い、必要な対応を決定します(9条2項)。そして、虐待があると認められると虐待認定をするとともに、①家族による虐待であれば家族分離、②施設での虐待であれば施設からの解放などを行います。
(3)安全のための措置
虐待されている高齢者を安全な場所に保護する方法として老人ホーム等の施設入所があります。施設入所は、
ア. 契約によってできる場合には入所契約
イ. 契約できない場合には入所措置処分(老人福祉法11条)
をとることで対応します。また、これらの対応すら待っていられない緊急時には、緊急一時保護もされます。
(4)入所後の保護
施設入所した場合には、市町村は市町村長名で、または、入所先の施設長の判断で面会制限の措置が取られたり(高齢者虐待防止法13条)、住民票の閲覧制限(住民基本台帳法12条6項)をするなどの措置がはかられ、虐待者に居場所を把握されないようにします。
3. 後見申立による財産保護
経済的虐待の場合には,家庭裁判所に成年後見開始の申立を行うなどして,後見人の選任を求めましょう。そうすることで高齢者の方の財産管理を後見人等がすることで保護されることになります。
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