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聴聞を受けた時の心掛け

聴聞を受けたときには

聴聞に関する通知を受けるということは、自分(自社)に対する「不利益処分」が予定されているということです。その時にはどういう対応が考えられるでしょうか。
具体的には、

  • 聴聞手続に出席して自らの言い分を述べる。
  • 予定されるであろう不利益処分に備え、差し止め訴訟及び仮の差し止めを申し立てる。
  • 実際に不利益処分がされるのを待って、処分取消訴訟及び執行停止の申立をする。
ということが考えられます。


1.聴聞手続に出席して自らの言い分を述べる。」については、別項でもお話していますが、単なる情状的なこと(言い訳など)をするのではなく、自らの適法性を述べることが必要となります。陳述書(行政手続法21条)によって述べることもできますが聴聞期日に出席して正当性を述べることが一番です。意外と「聴聞手続」は軽視されがちですが、手続での対応や資料収集が後の紛争手続(差止訴訟や取消訴訟)での証拠資料となるなどの影響があり重要です。聴聞での対応がわかりにくいとか訴訟になったら代理人を依頼せざるを得ないと考えている場合には、早い段階から弁護士のサポートを受けておくことをお勧めします。

2.予定されるであろう不利益処分に備え、差し止め訴訟及び仮の差し止めを申し立てる。」については、不利益処分がされる前にその「処分」をしないように止めておくための訴訟(行政事件訴訟法3条7項、37条の4)です。
この訴訟をするためには、

①処分が「されようとしている」こと(同3条7項)
②処分がされることにより「重大な損害を生ずるおそれ」があること(同37条の4第1項)

が必要とされています。
聴聞手続がされているような場合には、この手続が不利益処分をするためのいわば事前手続ともいえますので、①の要件は満たすといえるでしょう。②の要件については、後に損害賠償をしたのでは補填されなかったり、不相当な場合や後に取消訴訟をしたのでは遅いといえる場合などに認められるとされています。人身・表現・名誉などの重要な人権にかかわる場合が例としてあげられますが、なかなか判断が難しい面もあります。訴訟をする以上は、弁護士に依頼することをお勧めします。仮の差し止め(行政事件訴訟法37条の5第2項)は、差し止め訴訟をしている場合に申し立てることができるものです。差止訴訟をして訴訟を進めるだけでは時間がかかりますので早い段階で審理が進む仮の差止めは差止訴訟とともに申立てておきましょう。

3.実際に不利益処分がされるのを待って、処分取消訴訟及び執行停止の申立をする。」については、聴聞通知を受領した場合というよりは不利益処分をまさにされてしまった場合です。自分(自社)に対してなされた不利益な取り扱いは、不利益処分によるものですからこの処分の効果を取り消さないと処分の効果は残ります。取消訴訟を提起して争いましょう。そして訴訟中もその効力を停止させるための手続として訴訟提起している場合には、執行停止の申立ができます(行政事件訴訟法25条2項)。

これらの諸手続がありますが、そもそも不利益処分自体については、実際には訴訟などの法的手続を使わないと行政は自らの違法性をただすことは稀です。そして、訴訟をやる以上は早い段階から専門家に関与してもらうことで適切な対応をしてもらうことができると言えます。ただ残念なことですが、「行政相手」というだけで事案の救済の必要性とは別に自分が取り扱わないということだけで弁護士でも「やめた方がいい」と言って避けたがる人はいます。その事案が本当に「やめた方がいい」のか専門でないからやめた方がいいと言っているのかを正確な判断に困る場合もあるかもしれません(実際にそのような相談を私も受けることがしばしばあります)。ですので、聴聞を受けた場合はまさに行政手続きの問題ですので行政問題に詳しい・行政問題に実績のある弁護士に相談することをお勧めします。


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