夫婦間で離婚する場合、未成年の子がいれば夫婦のうちの一方を親権者として決める必要があります(民法819条)。このような場合に問題となることがあるのが親権と監護権です。一般に「親権がある」という場合には、親権だけでなく監護権も有していることになります。親権の決めるときの判断事情については、コラム「離婚の場合の親権はどう決まるか」をご覧ください。
ただ、親権の帰属について夫婦の間でなかなか合意に至らない場合に例外的に親権と監護権を別にわけることがあり、そのときこそ親権と監護権が問題となるのです。民法でも766条1項において「子の監護をすべき者」を定めることを想定しており,監護権者の指定を予定しています。
では、親権と監護権は、どう違うのでしょうか。監護権は親権の一部なのです。権限的には整理すると
となります。監護権というのは、日常生活をしていく上での種々の行為をしていく権利のことをいうのです。監護権を除外した親権に何が残るかというと、最終的な決定権として重要な権限です。未成年者である子が財産行為を行う上での代理をするのは、親権を行う者(親権者)なのです。また、身分行為としては、子の氏の変更(791条)などがあげられます。
親権と監護権をわけることは、協議または家庭裁判所の審判でおこなうことができます(民法766条)。どうしても夫婦間で離婚後の親権の帰属についての合意が難しい場合には、親権を有する親権者と監護権を有する監護権者をわけることも一つの方法と言えます。以前にコラムで述べた教育権訴訟の話も監護権を有する者と監護権を有しない親権者の間での教育に関する最終的な判断権に関する問題です。
ただし、親権と監護権とを分けることは例外的であり、分けることに意味があると思われるような場合にのみ考えるべきと思われます。
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