聴聞を受けたときには
ここまでのコラムで聴聞通知について説明をしました。(以前の説明は、「もし聴聞通知書が届いた時には」、「聴聞を受けた時の心掛け」参照)
不利益処分を受けようとしている場合における「聴聞」は、自らの言い分を述べる貴重な機会です。
実際の手続では、残念ながら聴聞で自分の適法性を述べても行政側の公務員において聴聞手続が意思表明の機会である重要性を理解しておらず、不利益処分をするためのいわば形式的な手続となることが多いようです。
ただ、全ての公務員が聴聞手続の意義を理解していないわけではないかもしれない(正当性を述べることで再考されるかもしれない)とともに、聴聞手続において述べたことは聴聞調書として残ります。聴聞でのやりとりを後に行政訴訟で争う場合には、聴聞調書証拠として使うことができます。逆に聴聞で下手な対応をすると訴訟を提起したときに「聴聞手続ではこう言っていたではないか」と言われてしまいかねません。
聴聞手続は自分の意思を述べるとともに行政側の不利益処分の根拠等を示させるので、これから行われようとしている不利益処分の理由や根拠などを早期に把握する貴重な機会です。
この聴聞手続には代理人の選任をすることが法で認められています(行政手続法16条)。不利益処分がされた後の処分取消訴訟(及びされようとしている場合の差止訴訟)を代理人によって提起することも含め、考えているならば、主張の一貫性の観点からもまた上記のメリットからも早い段階から行政手続(特に不利益処分への対応)に詳しい弁護士に相談しておくことをお勧めします。詳しい弁護士に相談することで「聴聞手続」への出席も含めた対応及び資料収集についての適切なアドバイスを得ることができます。
早期に資料を得ておくことで差止訴訟の提起を考えることもできます。差止訴訟は処分をされる前に事前に処分がされないように裁判所で判決で差し止める訴訟ですが、処分されようとしていて、かつ実際にされる前に提起する必要がありますので短期間での対応が必要となります。処分前の時間は短く、一日一日が重要になってきます。そのような状況で聴聞を経た後でいきなり訴訟の相談を受け、事件の流れなどを把握し短時間準備するよりは、事前の聴聞手続から関与し、その方向性を見ながら適切な時期に訴訟提起をする方が事件の早期解決になるはずです。
【関連トピックス】聴聞通知を受けたときには(聴聞手続について) >>